りきくんの病気が教えてくれたこと!第二弾
在宅で頑張ってる皆さんへ、家族・支援する関係者が意思決定支援をする上で大切なことをお伝えしたいと思います。
(すごく大切なテーマ)
りきくんの20才の頃のお話です。
おととし、自閉症で知的障害のあるりきくんが
下半身まひの身体の障害もありながらさらに右腕切断術を受けなければならない状態になりました。入院も長びき病状は良くならず、受け入れがたい現実が押し寄せて、母親の私は究極の心情になりました。
自閉症のりきくんは、思いを人に伝えることが困難ですが、そうはいっても何度も何度も手術を受けてきましたので、手術のことがわからないわけではありませんでした。
主治医の先生は、「自閉症だから伝えるのも、答えるのも難しいでしょう」とあきらめるのではなく、嘘のない誠実な説明を術前まで、彼にわかるように繰り返ししてくださいました。
りきくんは、普段はで自分のパソコンや本が1つでもなくなると、パニックになり見つかるまで、100回でも騒ぎますが、この先生の説明に対しては「うで、きらない」と2~3回つぶやくだけでした。パニックもありません。
本人は手術をしなければいけないことは、わかっています。「嫌だけれども、しなければいけない。」言葉では言えないりきくんですが、これが彼の意思になります。
病状は悪化していくばかりで、だれが見ても手術が必要な状態です。母親の私は手術をすることを決断しました。
決断した夜に、本当にその決断が正しかったのか、りきくんが「嫌」と言っていることを、本当にしても良いのか、とても心が痛くなり、私はとても苦しみました。
そんな中、宮崎大学病院生命倫理コーディネーター板井孝壱郎先生をはじめ、私と同じように苦しい思いをしていた主治医の先生や病棟の看護師スタッフの皆様が、りきくんの意思決定支援の話し合いをしてくださいました。その話し合いの結果も私と同じ選択でした。
そして私に皆さんがおっしゃったことは「母親一人で、こうしてしまったと責めなくても良いです。すべてのスタッフで、とことん話し合い、総意でこれが一番よいと決定しました最善の方法が手術です」というお話をしてくださいました。また、術直前まで、本人が望まない場合は、手術を中止できる体制づくりをしてくださり、たすけになりました。
こ「のチームの いつくしみ・思いやり」が、本人にとって、家族にとって究極の状況を乗り切るための力となりました
腕の手術が終わり、りきくんはストレッチャーで病室に帰ると、心配して待ってくださっていた、たくさん看護師の皆さんのケアをうけながら、りきくんはなくなった腕を見て、「進化!」とたくましくさけびました。みんなが、ほっとした瞬間でした。そんなりきくんは、今では、ゲームでもパソコンでもなんでも片腕でできるようになり、日常を取り戻しでおります。
悩み、揺れ、決めきれない・・・でも、そんな中でも決めなくてはいけない。。。
こういう事、たくさんあると思います。
そんな中で「いっしょに決めていきましょう、迷いながら、戸惑いながらでいいので。。。そして、その迷いも戸惑いもひっくるめて、おひとりで抱えなくていいですからね、みんなでいっしょに歩いていきましょう」これが在宅のかかわる専門職の皆さんの思いです。
『いろんな葛藤を抱えながらも、前へすすんでいく力を、たくさんのひとの応援で、少しでも支えていきたい』これが宮崎大学大学院生命倫理コーディネーター板井教授のお言葉でもあります。
私も、この言葉に、心を動かされ、起業しました。
在宅で療養しておられる皆さん、さらにはそこで共に暮らし、苦しさも切なさも、そして喜びもいっしょに共有して生活しておられる家族の方々、最前線にいる医師や看護師、ケアマネージャー、連携の様々な方々、そうした皆さんとともに頑張りたい!
これがこころみの思いです!!
医学獣医学総合研究科医科学獣医科学専攻
生命倫理コーディネーター高度職業人養成コース長 板井孝壱郎教授
先生に学んだ出来事です。