訪問看護師が、心身共に限界を感じたときに救われた出来事
「恋するココロミ」令和4年11月16日放送
訪問看護のお仕事は、一人でご自宅にお伺いして、様々な健康の状態に応じて、医師や、ケアマネージャー、行政、そのほかの連携の関係者で、取り組みますが、
どの支援の方々も、人ですから、気持ちも、身体も限界がございます。
私たち看護師も、難しい状態・状況があれば、つらい思いもしますし、倒れそうに身体がきついこともあります。
最近、こんなことがありました。私も、気持ちも身体も落ち込んで、とてもつらい状況がありました。さすがの私も、ターミネーターにはなれないですね。
近頃は、私もだいぶ体形がふっくらしてきたので、大きめのユニフォームばかり着ていたのですが、その日は、久しぶりに、色も形も違う、以前きていた小さめのユニフォームをきてみることにしました。すると、左のポケットに、なにか入っていることに気づきました。硬いちいさな、丸っこい物でした。とりだすと、それはつばきの種でした。あー、そういえば、今年の春、あるご利用者さまを、桜の花見にお連れしたときに拾ったものだと思い出しました。
そのご利用者様は、ご家族と最期の花見になるかもしれないから、少しのお時間でもおつれできたらと、ご家族、ケアマネージャーと相談し、介護タクシーの方とも協力して、最期の花見を実現したのでした。
お花見をみる余裕もない状態の方でしたが、一瞬でも満開の桜並木を、ご家族と見上げることができ、笑顔を写真に収めることができました。その場にいた皆さんの笑顔であふれたその時に、桜の木の下で目について拾ったのが、その椿のたねでした。この時のご利用者様は、直後にご逝去されました。
わたしのポケットから出てきた種、偶然今のこの時期に出てきたわけですから、なんだか、限界にある私をご存じで、私を励まそうとされたように思えて、とてもあたたかく、やさしい気持ちになりました。
この出来事で、限界の状態を乗り越えることができました。
椿は、「忍耐」や「生命力」の象徴であり、神聖な気として大事にされてきた樹木です。この種は大事にしたいと思います
普段は、支援者側の私たちも、ご利用されている方々のご縁に助けられています