2022.10.13

りきくんの病気が教えてくれたこと!第一弾

「恋するココロミ」令和4年9月28日放送

~病気や障がいのあるこどもをもつ私の思い~

病気や障がいを持ちながら、
地域でその人らしく生活できるためのお手伝いをするのが、
訪問看護の役割です。

これまでのラジオでは、大人の方の訪問看護をご紹介しましたが、
病気や障がいを持つ子供さんも、訪問看護を利用できることをお伝えします。

高度な医療ケアが必要な重症の心身障害のお子様たちが、
医療的ケアを、在宅でうけながら、家族と共に成長・発達を支えるのが
訪問看護のお仕事です。

子供の病気や障がいの受け入れ、接し方
母親の心と体のバランス 兄弟児の親に見捨てられた不安に対する家族支援もサポートします

私の息子「りきくん」は、病気と障がいがあります
自閉症と難病の神経線維種と言う病気を合わせて持っています 生まれて8ヶ月目で診断され、今は22歳になりました。歩行困難で右腕切断という状態です。

こういった状態を重複障がいといいます。2つ以上の障害があり、そのひとつひとつの病気が、一つづつで問題となるのではなく、相乗的に生きづらさがふくらむのが重複障がいの特徴です

私は、障害の息子と、その妹を、ひとり親で育てました。仕事をしながらですので、そんな私たちは在宅で、生活をともにすることを選択しました 

「そんなに大変なら、こどもを施設に入れたら」なんて、よく言われたものです

これまで私たちの家庭は、親戚、医師、相談事業所、学校、通所施設、警察、地域の方々のご理解と協力で私たちの在宅生活は支えられてきました。

学校や療育支援機関での集団支援はとても充実したものでありましたが、
集団の中では、「頑張らなきゃ」という性格の私は誰かに、個別的に相談することが難しかったように思います

りきくんが、5~6歳のころ こんなエピソードがありました

自閉症のりきくんは、気にあることがあると、気になるところへ、時間を問わず、親も探さず、一人で行ってしまうところがありました。

ある冬の朝6時ごろ、私は彼が家にいないことに気づきました。一人で出て行ってしまい、探してもいないので警察に電話すると、

「ある方の家に入ったところを、警察が保護しています。」と言われます

警察に迎えに行くと、パジャマ姿で、楽しそうにしている息子がいました。

すぐにご迷惑をかけたお宅に、謝罪にいくと、その家のおばあさんが、私たちを責めるどころかこういわれました

「朝方、寒いのに裸足で布団のところに来た。にこにこしていたので、お地蔵さんと思って拝んだのよ。あなたは謝る必要はない。一人で子育てを頑張ってきたのでしょう。他の人の力を借りなさいね。」と

こういう、子育てにがむしゃらで、いっぱいいっぱいの私の毎日に
個別的に伴走する方がいれば、問題がたくさん発生する子育て期に
こんなにも心温まる思いが、しっかり残るんだということを経験しました。

私たち家庭は訪問看護を利用していませんでしたが、

「りきくん」に訪問看護が利用できるならば、
こどもの障害を受け入れる段階で、小学校に入るまでの時期と
病気の状態が、刻々と悪化した高校を卒業後の時期に個別対応が必要であったかと思います。
親御さんが、頑張りすぎず、ご家庭ごとの個別的にサポートできるのが、訪問看護です。

私が出会った、おばあさんのように、誰かのこころのよりどころになれたらと思っています。