2022.10.17

看取り

「恋するココロミ」令和4年8月31日放送

ある90代の女性と娘様方のお話です

今回お話しする女性は、90代のご高齢ではありますが、それまではお元気で、お買い物にいったり、自分のことはじぶんでされながら、ご自宅で娘様と暮らしておられました。そのかたが、急に食欲がなくなり、身体の状態が悪くなり、すぐに寝たきりとなられました。病院でも、治療できない状況と診断され、娘さんは途方にくれます。

そんなとき、娘さんがテレビで「松島ともこさんがゲストの回の徹子の部屋」をご覧になられます

松島ともこさんが、母親を自宅で介護し、最期までお看取りをされたというテーマの回です。これは智子ちゃんの話です。

辛そうにしている母親に「お母さん、きついの?苦しいの?」ときくと首をふられ、「怖いの?」ときくとうなずかれます そこでともこちゃんは、母親に添い寝して、抱きしめてそのまま眠ってしまいます。気が付くとお母さんはそのまま旅立たれていたそうです。そして、ともこちゃんは、全てが終わり、「母の娘でよかったわ」と振り返ります そういう番組の内容だったそうです。

それをご覧になり、娘さんは、こういうことは、特別なことで、ともこちゃんが芸能人だから、できたことなんだと、ちょっと諦めます。そして、その話を、妹さんに話されます。妹さんはその願いをかなえよう。それがお母さんらしいと、ネットで都城の在宅医を調べます。妹さんは調べた先の医師に、メールを送信し、そのメールを受信した医師は、その日のうちに往診され、私たち訪問看護師を依頼されました。私たちも、その日のうちに訪問を開始し、そこからケアマネージャー・福祉用具、訪問入浴をサービスがつながっていき、在宅療養を支援しました。

お会いしたころの、ご家族の方々は、不安で、受け入れがたいお気持ちで始まった在宅介護生活でしたが、毎日訪問看護が入り、医師や関係機関と連携し、泣いたり、笑ったりしながら、日常を送る中で、娘さんの願いの通りに、最期は穏やかに、ご家族に見守られながら、おみおくりすることができました 

ご家族の、自宅療養をかなえたいという思いから、つながったご縁がつながり、それが実現しました。あなたが、あなたらしくあるために、看護師ができることをこころみながら、伴走しました。 長女様は「なんの後悔もありません」と笑顔ではなされました