2022.12.16

在宅で看る側、看られる側双方の間のストレスを緩和する訪問看護

「恋するココロミ」令和4年12月14日放送

ご病気や、障がいを持ちながら、ご自宅での生活を選択された方々は、看る側も看られる側も、双方の事を思い生活をしていらっしゃいます。お互いのこれまでの生きてきた中での関係性があるため、多少なりとも「緊張」「なれ」「変化に対応できない」などを抱えている事があります。

今回は、私たち訪問看護師が接したご家族、四世代でお過ごしのご家庭のお話をします。

看られる側のご本人は90歳だいで、親を看る70歳だいの子供さま、40歳だいのお孫様、10歳だいのひ孫様と言うご家族です。親を看るお子様は、「お母さん、お父さんが悪くなってほしくないから、できることは自分でしてほしい。」

40歳だいの孫様、10歳だいのひ孫様は、「世代が違うから、どう接したらよいか分からない。何に困っているか言わないから分からない」

看られる側の90歳だいのご本人は、「困っていても、自分でする様に言われているから、簡単に言えない。できるかぎり我慢する。皆仕事などでいそがしいから、邪魔できない 寂しい」

などそれぞれの思いを抱えていらっしゃいました。そういう関係性のところに訪問看護が入りました。

日々、私たちが訪問看護に入る時は、可能な限り、お子様やお孫さんのお嫁さんが同席される中、訪問にはいりました。

ご本人は、日々のお困りごとを、率先してご自分からおっしゃるかたではありませんので、私たちが接する中で、一つ一つ紐解きながら、お体に接しながら、寄り添った看護を、ご家族と一緒に行いました。

そのケアのお時間の中では、好きな歌がどんな歌なのか、どんなご飯が食べづらくて、これを食べると調子が良いとか、好物は何かお話したり、調子の悪いところはどこか、お話しながら、その場にいるご家族と共有します。

先日は、昔の事をふと思い出されて、「お嫁入りのときは、トラックの助手席に乗ってきたがね。トラックの荷台に、親戚一同をのせてにぎやかだったね。道ががたがたしてたがね」など、ご家族だけではなかなか聞けないお話をされたりしました。

皆さん、自然と笑顔になりますね。

こういう訪問看護のかかわりを継続すると、「看る側のご家族も、看られる側のご本人にも、変化があった」とご家族がおっしゃいます。

とくに孫様、ひ孫様は「今まで、どうかかわってよいか分からず、距離が遠いと感じていたご本人との距離が縮まり、自然にお話ができるようになった。そして、何か困ったことがあったら、頼って、相談してくださるようになった。お役にたてるようになった。ご本人がどんな人生を生きてこられたか、聞くことができた」とおっしゃいます。

私たちが、直接的に出来る事には、限りがありますが、毎日を支える看る側のご家族にも、なにかの変化につながり、看る側、看られる側の双方が優しい関係になれば幸いです。